2019年1月16日

【Box Design】ayumu aizawa様「魔女の帰郷 完全版」

 
DSC05241.jpg
 
 
こんばんは。
今日はポップアップではなく、
箱の話をしようと思います。
 
何の箱というとそれは、
本や詩、歌を制作して活動されているayumu aizawaさんの
「魔女の帰郷 完全版」の箱。
(詳細はこちら→https://majonokikyo.amebaownd.com
 
5つの仕切り箱に本や詩、歌、花、香りの小瓶が入っていて
それを封印するための箱。
 
昨年それはそれは心から
楽しんで苦しんで(←良い意味です!)つくった箱。
 
そんな箱の話です。
 
 
 
 
「箱の設計をお願いすることは可能でしょうか」
 
aizawaさんからそうメッセージを受け取ったのは
既に猛暑でへばっていた昨年7月のこと。
 
 
丁度知りたい欲を刺激されていた「箱」。
少しずつ勉強を始めていたこのタイミングで
aizawaさんの新作を納める箱製作という大きなお願いには
心底驚きました。
驚いたし、何よりちゃんと形にしきれるか不安でした。
 
ただここ数年は本当に、
「あ。この人。。!」と思える人や出来事が
ぼそぼそと繋がっていくのを体感しているので、
今回の箱作りについても「あ、始まったな。」
と思えた確信を元に
有難く製作させていただきました。
 
 
とはいえポップアップもまだまだというのに
箱については知識も技術もまだまだのまだまだ。
その事をお伝えしても尚、
私に箱作りをお願いしてくださるなんて
aizawaさんはなんて変な人なんだろう。
そう初めは思いました。
(すみません。)
 
 
でも思い返してみるとああそうか。
そもそもの始まりには2017年、
私が「もう終わりやな」と思いながらつくったポップアップの作品集に
一番に言葉をくださったのがaizawaさんでした。
 
(下手でダサくても)好きにつくって、
(何処かで学んでいなくても)世に出して、
(それで例えばお金をもらったって)いいんですよ。
 
ポップアップを作り始めてからずっと、
真反対の事を常に心のど真ん中に鎮座させていた私に、
直接的な言葉を使わずしても何度も、
そう教えてくれる人。
aizawaさんは私にとってそういう人。
 
 
そういう人からのお願いだから、
出せる限りの挑戦をしようと思えたのだと思います。
 
 
話はずれましたが
今回の箱の設計について。
 
知識も技術も同時進行で得ていきながら
どう進めていったのかというお話をしてみます。
 
 
箱に入るのは
aizawaさんの新作「魔女の帰郷」。
本と歌と共に花や香りの小瓶も入ります。
 
 
まずは数ある箱の種類の中から
これかなというものを2点実際に作ってみました。
サイズはとりあえず小さめにしたりして、
どの形が心に触れるのか実験です。
 
 
ブックケースのような変形版の夫婦箱。
testbox_1.jpg
 
本を入れる所が二重になっている
少し重厚感のある箱。
testbox_2.jpg
 
 
どちらも良いけど、
「これや!」とは言えませんでした。
 
そこでaizawaさんとのやり取りを経て得た
「魔女の薬草箱」や「森で見つけた呪いの箱」
などの言葉を元に、
箱を開ける時の仕草や気持ち、
中に封じられているものたちが
初めて外気に触れてその方と対面する時の情景を
できる限り詳しくイメージしてみました。
 
「魔女の帰郷」にとっては
そういうものはどういうものか。
想像して想像して想像して。
 
そうすると自然と、
「これじゃない?」と出てきたのがこの形。
 
引き出しタイプ。
取手は革紐を使いました。
testbox_3.jpg
 
開けたところ。
初めは小箱は細長いのが1つでした。
testbox_4.jpg
 
 
うんうんなかなかいい感じ。
まだまだ改良しやなだけど、
型はこれだなと決まり嬉しくなってきました。
 
そうと決まれば中に入る本やCD、
花や小瓶のサイズから数値を割り出す設計に入り、
それなら箱の色は、形はこうだろう、
箱の開けやすさ(開けにくさ)はこれ位だろう、
そして作る順番はこうしたらミスが少なく綺麗だし、
ならばここは1mm幅を削って製作工程を入れ替えよう。
みたいに、感覚を具現化する為の数値を探しまくりました。
 
 
そうして出来上がったのがこの箱です。
 
 
aizawaさんの本を囲むように配置された4つの小箱。
そこには花と、香りの小瓶が入っています。
DSC05251.jpg
 
箱のスリーブには
特別な紐と微かになる鈴が。
DSC05241.jpg
 
いかがでしょうか。
 
形を決めていく工程も、
それを何個も何個も製作するという工程を見い出すのも
それを管理するのも、
ギリギリまで大変ではありましたが、
その全ての時間で「生きてる!」をビシビシ感じた
今回の箱の製作。
 
新作のタイトル「魔女の帰郷」に影響されてか、
実は途中からちょっと
自分も魔女になった気になって(何の魔女かは不明だけど)
にやにやしたりもしていました笑。
 
とにもかくにも、
設計の方法や気をつけるべきポイントは
ポップアップのそれとは全然違ったけど、
閉じる→開く→閉じるという、
閉じると閉じるの間の時空間に生み出される何かは
ポップアップと似ているのかな、なんて気付けたこと、
何よりの私にとっての学びでした。
これからも箱、勉強していこう。
 
 
最後に。
 
aizawaさん。
改めて、このような機会を私にくださり
本当にありがとうございました。
 
出来上がりを購入させていただいた昨年11月。
箱自体は何百回と見て触れて過ごしていたのに
aizawaさんの本や歌、花や香りが入ると途端に
気軽には開けられなくて、
あの引き出しを開ける勇気が持てたのはつい最近です。
 
中身の感想は、
私の拙い語彙力ではよう表現し得ません。
素敵で特別な本屋さんや
既に手にしてくださっている方々のお言葉がまさに、
私にとってもそうです。
 
ゆっくり大切に、私だけの箱にしていきます。
 
aizawaさんも本当に、お疲れさまでした。
 
 
以上、箱の日記は終わりです。
そして是非、こちらをご覧くださいませ。
ayumu aizawa「魔女の帰郷」特設サイト
 
 
手にしてくださる方々が
もう魔女な事、思い出すきっかけになりますように。
 
Hiromi Takeda
 

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箱の設計   2019/01/16   武田 裕美